チルドレン

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

たぶんこの本嫌いな人っていないんじゃないかなと思いました。初めて読んだ伊坂作品が『グラスホッパー』で正直あまり面白いと思えずずっと敬遠していたんだけど、『チルドレン』は読んでよかったです。私は人の心の奥底に潜んでる悪意をとことん描いた嫌な話が大好きなんだけど、こういうメインにいやな奴が出てこない話っていうのもいいものです。いやなやつは誰もいない、だけれどもいい子ちゃんもいないってとこがいい。陣内のめちゃくちゃだけどちゃんと筋が通ってるのも好きだし、永瀬の盲目の青年ぽくなさも好きです。どの話もよかったけれど、「チルドレン2」のラストシーンはちょっとぞわっとなりました。鳥肌が立つってこういうことなんですね。