流星さがし

流星さがし

流星さがし

弁護士事務所に持ち込まれた依頼を解き明かす連作短編。日常の謎系のミステリ。5つの短編の中に出てくる依頼はどれも一筋縄でいかず、ちょっとした謎に包まれています。5つの中では「泥んこ泥んこ」が1番好き。依頼人は高校生の娘を持つ母親。娘がいじめにあった結果、不登校になってしまったので学校側に非を認めさせたいと彼女は言うが…という話。この話は、謎は解決されます。が、それでおしまいではなくそこがスタートになっています。読み終わった後に心の中に残るものがあって私はいい話だなあと思いました。デリケートな問題を扱っていながら当事者を不愉快にさせないような配慮もあると思うし*1、面白かったです。
5つの短編を読み終わって、私はだから柴田よしきの本を読むのだなあと改めて思いました。爽やかなだけの読後感ではないけれど私はこういうのが好きなんです。1作目の『桜さがし』が未読なので、こちらも今度読んでみたいと思いました。

*1:実際当事者の方が読んだら違うかもしれないけど。でも私はレッテル張りしたような書き方ではなく、伝えたいものを伝えようっていう風に感じました。