- 作者: 斎藤美奈子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/06
- メディア: 単行本
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色々あったなかで気になったのが裁判員裁判の話。事前のPRドラマでは割と性別や年齢に偏りなく選べれていた裁判員だが、現実はそうはいかず極端な偏りが出ている例もあります。
六人の裁判官にどんな人が選ばれるかは100%運任せ。性別、年齢、経歴、出身地、思想信条など、せめて自分の意をくんでくれそうな人が選べれてくれと天に祈るしかない。
(中略)私が被告だったら、運に左右される裁判は受けたくない。
性犯罪だったら女性裁判員が多いのか男性裁判員が多いのかで大きく変わるだろうし、被告と同年代の裁判員なのか大きく年代が違う裁判員なのかによっても結果は変わると思います。色んな意味でニュートラルな市民なんて幻だということです。更に問題なのが、裁判を迅速かつ分かりやすく進めるために裁判が変わってしまったことです。
裁判というより、これ、クライアント(裁判員)を前にした広告代理店のプレゼンテーションに近くないだろうか。(中略)
「素人相手のプレゼン(コンペ)」は素人さんにわかる範囲、素人さんに受けそうな表現を考えるあまり、プロでなければ判断できない微妙な要素、難解な部分をネグってしまうことがままあるからだ。
プロ(裁判官)がすべて正しい判決を出せるわけじゃないけれども、じゃあ素人感覚は万能かというとそうでもないと思うわけで。まあ人が人を裁くのに絶対の正しい判決っていうのはないというのが正解だと思いますが。