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緑川の小説「無垢人」の中に出てくる愛人○子を探して小説「淫」を書くタマキを描いたお話。いわゆるマトリョーシカ構造の本です。以前『OUT』を出版されていたのでその関連性やいかにと思いきや、全く違ったお話でした。でも私は面白かったです。人間のというか物書きの性を描いていてその底知れなさにぞっとしたり。小説を書くこととは何なのか、物語を紡いでいく先に現れる現実と幻想の交錯とは何を意味するのか。そこに焦点を当てて奥へ奥へと潜っていくあたりはさすがの桐野イズムを感じました。
こうやってはてなで日記を書き始めて約2年半。以前違うとこで書いてた時期もありました。その時期もこみで人に公開する文章を書いてきて思うのは書くことの業について。小説とブログは全く違ったものです。創作と日記は違うものだから。でも、書くということそのものが私は業なんじゃないのかなーと思ったりしています。日記だって何もあったことを全部書いてるわけじゃない。そこにはあえて書かなかったことというのも当然あるわけで私はその「あえて」の部分が案外大事なんじゃないのではと考えます。もちろん書いてあることが十分大事だという前提だけど。なんていうか、人間って業が深い生き物ですねと思うわけです。