緑ヶ丘小学校大運動会

緑ヶ丘小学校大運動会

緑ヶ丘小学校大運動会

小学校の運動会と薬をめぐる事件が絡み合うミステリ小説。目次が運動会のプログラム風だったので爽やか運動会小説なのかなあと思って読んでみたらところがどっこい違法薬物やら殺人事件やらが絡むミステリでビックリ。子供視点と大人視点を繰り返しながら物語が進行していくんだけど、登場人物が多いせいかそこら辺がちょっとごちゃごちゃしてわかりにくかったかなあと思います。だって視点によって名前の表記の仕方違うし*1。たとえば主人公は子供視点ではマサルだけど大人視点だと優。これはまあわかりやすいほうだからいいんだけど、読みながら誰と誰が同じだったけ?となったものです。人物表ついてたらわかりやすかったかも。
子供視点のとこはやっぱかわいいなあというかよかったです。運動会にかける気持ちであったり、即席少年探偵団の推理ごっこであったり、子供らしい友情物語は面白かったです。
反面大人視点のところは思ってたよりかビターな味わいでした。なんかさ、心が薄汚いよね、大人って…みたいな。どいつもこいつも自分がそんなにかわいいんかいっていいたくなりました。なんていうか地の文の描写が意地悪なんですよねえ*2。そしてラスト近くにやってきたラスボス視点のところが背筋がすうーっと冷えるぐらい怖かったです。だってこの怖さ、リアルなんだもの。いるだろうなあ、こういう人って容易に考える事ができる人物がラスボスというのが恐ろしいなあと思いました。後味悪かったわー。
悪意であるとか人のいやなとこ描くのがうまかったと思うので今度は違った作品を読んでみたいなあと思いました。

*1:まあ、ここもミステリ的に大事なとこなんで仕方がないんだろうけど

*2:褒めてます。