- 作者: 辻村深月,さやか
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/02/26
- メディア: 単行本
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この本は辻村的結婚小説であると同時に辻村的お仕事小説にもなっています。まず結婚小説という側面について。結婚って当人たちだけの問題じゃないんですよね。ややこしいことに。恋愛は2人だけでもできるけど結婚はそうはいかない。それぞれの親族が絡んできてうまくいかないことも出てくる。「家」の問題は21世紀になっても相変わらずあるのが現実。そういった結婚のシビアな面も描いています。
お仕事小説的な面はウエディングプランナー山井さんを通して描いています。彼女の持っているプロ根性が私は好きです。仕事をしていればどうしても嫌な客にあることもあるし理不尽な目にだって合う。だけどそれでも彼女はプライド持ってやり遂げようとする姿勢が私はいいなあと思ったのです。彼女が報われて思わず涙するシーンでは私ももらい泣き。真摯に向き合っていればいつか報われることがある。そういう希望が描かれていてスカッとしました。
ここで描かれている4組の新郎新婦はそれぞれ色々な思いを持って大安吉日の結婚式に臨んでいます。結婚するのって大変だよなあと我が身を振り返って思ったりも。結婚を維持するのも大変だけどね(苦笑) 4組の中では双子の姉妹の話が一番好きでした。姉妹それぞれのこじらせちゃってる感じが辻村作品っぽいなあと。しかし私が何故にこの話一番好きかというと新郎の映一さんが素晴らしいからです。いやーだってさーこれたまんないでしょ、女子は。私は映一さんに胸キュンです。読み終わったそばから二度読みしたぐらいぐっときました。少女漫画脳をお持ちの方ならばキュンキュンするはずだと思います。
あと私的にたまんなかったポイントは作品間リンク。うわーお久しぶりね、元気だった?などと本に向かって語りかけてしまいそうになるぐらい再会できたのが嬉しかったのです。なのでこれからあの頃の彼らに会うべく再読の旅に出かけます。こういうときに備えて辻村作品は買いそろえてるのだけど、備えといてよかったわー。
*1:一応お灸は据えられてるけど。それ込みで考えても格段に優しい結末だと思った。もっと罰が与えられてもよかったはず。