光媒の花

光媒の花

光媒の花

バラバラだと思っていた短編たちが少しずつリンクしていて、最後にきれいにまとまっていく様は読んでて心地よかったです。前半の短編は正直心地がよいものじゃないです。じめーっとした後味の悪さがあり気持ちが暗くなるような感じだったし。でも、それらが後半逆転していくんです。そして最初の短編と最後の短編が繋がったとき、光がパーっとさすんですよ。あの重苦しくて救いがないようなお話に。
ひとつひとつの短編もいいけれど、連作短編集としての全体のまとまりもよく完成度が高い本だなあと思いました。初期作とは違った雰囲気が出てきて面白い進化の仕方をしているなあとも感じます。