メロディ・フェア

メロディ・フェア (文芸)

メロディ・フェア (文芸)

故郷に戻ってきて新卒の美容部員として働く女性の話。たぶんだけど、お化粧に対して思い入れがあるかないかでこの作品の評価って大きく分かれると思います。チークを一刷け入れることによって顔色がさっと変わるのを「あーわかる、そうだよねー」っていう人は楽しめるんじゃないのでしょうか。なので男性にはちと敷居が高い本だなあとも感じました。だって男性って化粧にあんまり頓着しないですよね。スッピンとスッピン風メイクの違いもわかんない人のが圧倒的に多いし。これね、声を大にして言いたいけれど全然違うからね!
家族の話や友達の話を絡めながら主人公が成長していく様は読んでて心地よかったです。その手の成長ものとしてはは宮下作品らしいまとまり方だなあと思いました。
女の子はある時期を境にかわいいかどうかが評価の基準軸となるって話が出てくるんだけどこれは読んでて身につまされました。絶対ってわけじゃないけれど、そういうのは確実にあると思うもの。でもってそういう空気を読んでどんどんくすぶっていったって話はきっついなあと。勉強ができれば、運動ができればそれでOKではなく見た目偏差値に重きを置かれる辛さは非常に女子的なきつさ。そういう呪縛からうまく逃れるすべがあればいいんだけど、青春真っ盛りの頃ってなかなか難しいですよね。