- 作者: 西原 理恵子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: 文庫
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前半の西原がマンガ家として歩み始めるまでのとこは正直読むのがしんどかったです。特に高知時代。貧困が貧困を呼ぶ負の連鎖。それを断ち切ることがいかに難しいのかっていうのは私もわかってるつもりだったけど、想像以上のきつさがありました。
人は将来に希望が見えなくなると、自分の事をちゃんと大事にしてあげる事さえできなくなってしまう。破れかぶれで刹那的な楽しさを追い求めるうち、モラルさえなくしてしまう。
そこをどうにかしていくのは教育の力だと私は考えます。教育って本来光だと思うんです。光をともして導いてあげるのが教育の役割。お願いだから、ちゃんと機能して。そう願うばかりです。
後半はタイトル通り、お金の話。金銭感覚の話であったり、仕事とはという事であったり、西原自身の子どもへの金銭教育であったりが描かれています。経験から基づく言葉だけに重みが感じられます。
貧乏人の子は、貧乏人になる。
泥棒の子は、泥棒になる。
こういう言葉を聞いて「なんてひどいことを言うんだろう」と思う人がいるかもしれない。でも、これは現実なのよ。
お金が稼げないと、そういう負のループを断ち切れない。生まれた境遇からどんなに抜け出したくても、お金が稼げないと、そこから抜け出す事ができないで、親の世代とおんなじ境遇に追い込まれてしまう。
負のループの外に出ようとしても「お金を稼ぐ」という方法からも締め出されてしまっている、たくさんの子どもたちがいるんだよ。
こちらは広く世界を旅してる西原だからこそ、見えた事実なんでしょう。わずかなお金を稼ぐためにリスクを背負ってる子どもたち。選択の自由もなく日々生きている子供たち。小さな希望を灯すために何ができるのか、何をすべきなのか。自分の目の前で起こった事じゃないからといって知らないふりをしていいことなんかない。
とにかく本1冊を通して経験に基づく言葉の強さを感じました。これだけの事を誰にでも伝わるように咀嚼して言葉にするのって大変な事だと思うんです。さらっとやってのけてるから大したことなさげに思えるかもしれないけれど、これもまた才能だなあと思いました。
*1:自分の本でさえ嫌なのでましてや公共のものである図書館本に書きこむのなんて言語道断だと思う。