眺望絶佳

眺望絶佳

眺望絶佳

スカイツリーと東京タワーの往信と復信の間に挟まれた東京の町を描いた短編集。なんとも不思議な味わいのある本でした。ストレートにわかりやすい話から一読では「?」ってなっちゃうのまで色々ありました。まあ私の読解力の問題なんでしょうが。好みだったのは「よろず化けます」と「おさななじみ」。どちらも心にしみます。
冒頭とラストを飾る「眺望良し。」は描き下ろしになっていてスカイツリーからの往信と東京タワーの復信です。これがよかった。特に東京タワーのが。永続的に変わらないことなんて何もない。だけどそれでも東京タワーは立ち続けます、その日がくるまでは。色んなものを見てきてその変化を見守りながらずーっと立ち続けている東京タワー。その決意を胸にスカイツリーに贈られた言葉はそのまんま、読者に贈られた言葉なのかもしれません。立ち続けることにこそ、意味がある。だって立ち続けることって簡単そうに見えてそうとは限らなかったりするもの。そう思うのでした。