ハイドラ

ハイドラ

ハイドラ

摂食障害のある二十代半ばのモデルの話。身体と精神は密接な関係にあるというお手本的お話でした。主人公早希はカメラマンと同棲しているものの、それを知っているのは友達1人だけで周りには嘘をついています。彼が出すメッセージを受け取って*1その通り行動してしまう癖がどうにも抜けず病んだ生活をつづける毎日。そんな中、早希のファンであった男と出会い彼女に変化が現れます。さて彼女はどっちの道を行くのかというのは読んでのお楽しみってとこですが、どうにも読んでて苦しいお話でした。他人から見たら「何やってるんだよ」ってあきれられたり軽く同情されてお終いなのかもしれないけれど、そう簡単にいくのならば誰だって苦しむ事なんてない。その人が見ている景色はそこまでいかないと見ることはできない。高いほうから見下ろして「どうしてそんなことしてるの?」って言われても響かない。喜びは他人と共有することができても苦しみを共有するのって実は難しい事なんだと思うんです。「私の気持ちなんて誰もわかってくれないもん!」などというのはある意味本当の事の気がします。わかることはできないけど、せめて寄り添えるようにはなりたいなあと思うのでした。

*1:実際に口に出すものもあれば、そうではなく感じとるメッセージもこみ