- 作者: 中島京子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/08/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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同じ相手と一緒にいても、やさしい気持ちになれることとなれないことがある。やさしい気持ちになれる時期と、そうではなくなる時期がある。意地の悪さとやさしさは、まったく違う二つの感情ではなくて、根っこは一つのところにある。人の魅力と欠点も、たいがいは根っこの同じものなのだ。他人を変えることはできない。こちらが変わることもできない。ただ、意地悪をしないとか、許すとかいったことができるだけだ。
「シンガポールでタクシーを拾うのは難しい」からの引用。激安だけど安いのには理由があるというツアーでシンガポールに旅行にきた夫婦の話。この言葉が素直にポーンと入ってきちゃうようなお話でした。人間関係って難しいけど大変だけど、でもそれだけじゃあない。
「この年になるとわかるじゃない? たいていの人が、少しずつ変だわよ。百パーセントまともだなんていう人のほうが、気味が悪いわ。お互いにお互いのわけわからない変なところを、許して生きていけるならいいんじゃないの?」
「天井の刺青」からの引用。これは意外な展開を見せたお話でした。まさかそこがオチなのかと。なんていうかまあ、ものは考えようというか。普通はこういう展開にしないけど、これはこれで物語としてはありなのかもしれません。