きのう何食べた?

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)

きのう何食べた?(7) (モーニング KC)

このマンガの中で描かれる食卓というのはごく普通の食卓であり献立であり描かれる出来事もドラマチックなことではなく何気ないことばかりです。でもね、そういう何げないことをちゃんと救いあげて物語の中に落とし込んでくれるのがこのマンガ読んでてとってもいいなあと思うのです。何も特別であることばかりが全てじゃない、何気ない日だって素晴らしいじゃないのかってね。
ジルベールと大ちゃんがシロさんケンジ宅にやってきた話の中で、シロさんが正月にケンジとともに実家に帰省したいといいジルベールに親に恋人紹介などしない方がいいといわれてシロさんがいった言葉があります。

両親は俺がゲイだと分かった時最初にどう思ったんだろうって
でこう思った
きっと両親は俺がゲイだと分かった時俺の事を「かわいそうな子だ」と思っただろうなって
次に俺がこんな風になっちまったのは自分達の育て方が悪かったのじゃないかと自分達を責めたのかもしれない
だからさ
だからゲイの何たるかをわかってほしいってことじゃなくて少なくとも今俺が両親が思ってるよりは不幸じゃないんだって事を分かってほしくてケンジを連れて行こうと思ったんだ

これね、ゲイを違う言葉に入れ変えても通じる言葉だと思うんです。まあたとえばオタクとかね。私のことですが。世間にはそのことを歓迎されてなくてかわいそうだとか育て方が悪かったんじゃないかって思われるかもしれない。でも、自分は決して不幸なんかじゃないよっていうのは言いたいわけです。丸っと理解してくれとは言わないけれど、でもそういう生き方だってあるんだよ。
正月にシロさんの実家に行き、一緒に食卓を囲んで家に帰る途中にケンジがいったのがこちら。

もーそんなことより俺夢みたい!
恋人の実家に遊びに行って親ごさんと一緒にご飯食べる日なんて俺には永久に来ないと思ってたもん
もー俺ここで死んでもいい!

ゲイである彼らにとってはそんな日って夢みたいな日なんですよね。何気ないことが誰かにとっては特別なことになることだってあるのです。
でもって今回のコミックスの帯がこちら。

記念日も誕生日もなんでもない日も家で乾杯。

うんうんって首ぶんぶんふりたくなるナイス帯。特別な日もなんでもない日もどっちもおめでとう! そうやって生きていけたらいいな。