イルカとぼくらの微妙な関係

イルカとぼくらの微妙な関係

イルカとぼくらの微妙な関係

著者がイルカにまつわる旅を14取り上げ、人間とイルカとのかかわりの多様性について書いた本。ドルフィンスイミングなどでイルカを観光に使っている話やイルカに癒しを求める人たちの話、イルカと環境汚染の話、イルカ漁の話などなど多岐にわたって書かれています。1つ1つの話が20ページから30ページ弱なので描くテーマをそれほど深く掘り下げることはしてないけれど、イルカにまつわる話をいろん角度から俯瞰して見れたのは面白かったです。イルカだけじゃないんだけど、同じ物事でもどこから見るのかによって見えるものは違うんですよね。どこに軸足を置くかで全然違うもの。なので、あまり主義主張に凝り固まりすぎないように書かれているのが程良く読みやすかったです。もちろん、著者の立ち位置もあるのでしょうが取材対象の話もきちんと書いてあるので色んな角度からものが見ることができるのです。
イルカに癒しを求める人の話がなんか怖かったです。ただ単に「癒される―」とかいってるだけならいいんだけど、イルカは何かのメッセージを持って人間に近づいてきてるからそれを受け取ってテレパシーで交信するようになると世界がより調和に満ちた世界になると思うの☆とか、人間の負の感情が海に流れてきてイルカたちにはそれが思考公害になってるのよなんたることなのかしらとか、イルカは宇宙からのメッセージの使者なのよ☆とか、そのメッセージを受け取って選ばれし者だけは腐っちまった地球を捨てて宇宙に出ていくのよ☆とかいうのはなんていうかすごいなあと思います。イルカもそんなもの勝手に背負わされて大変だろうに。