ポリティコン

ポリティコン 上

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ポリティコン 下

ポリティコン 下

ユートピアとしてスタートした唯腕村をめぐる物語。一部は村長の東一、二部は東一が恋い焦がれた美少女マヤが語り手になっています。ユートピアだった唯腕村、でもそれがいつまでも続くものとは限りません。時は流れるし人は年をとるし状況は少しずつ変化していくものです。東一は唯腕村創始者の孫で第三世代になります。かつてユートピアとして世間から注目されていた頃とは違う時代を生きなければいけないわけで、それをまあ色々と工夫というか悪知恵というか浅ましい企みをして村を経営していく過程は正直読んでてあんまり楽しくはなかったです。いやーなもやもやを感じちゃったんですよね。それがマヤ視点になってからはぐぐっと物語に入っていきやすくなりました。やっぱり桐野さんは女性視点で書くほうのが同じじめっとした話でも生き生きとしてくるよなあと改めて感じました。酸いも甘いも噛み分けた女描いたらやっぱりうまいですね。
最後はちょっとあっけなかったかなあと思ったものの、『OUT』のラストを思えばこれはこれでありなのかなーと感じました。