カマラとアマラの丘

カマラとアマラの丘

カマラとアマラの丘

廃墟となった遊園地にまつわる噂、それはわけありの動物を弔ってくれる動物霊園があるというもの。弔ってもらうためには墓守の青年と交渉しいちばん大切なものを差し出さなければいけないというのだ。
5作の短編からなる連作短編ミステリなのですが、重く静かな物語でした。文章自体は読みやすくサクサクっといけるのだけど内容は読みやすさとは反比例するようにずっしりくるのです。動物と人間のかかわりをどうしていったらいいのか、それを改めて考えました。愛玩動物としての動物、人間を助ける存在としての動物、色んな形があるけれど彼らはモノではなく命です。命だからこそ道具にしてはいけない。自分達の都合だけが優先されるべきじゃない。
ハルチカシリーズとは違った趣の本だったけど、こういう初野作品も好きだなあと思います。リアルをファンタジーでコーティングするのがうまい作家さんっていいな。ふわふわしたファンタジーの中だからこそ、描くことができる本当のことってあると思うんです。