異国のおじさんを伴う

異国のおじさんを伴う

異国のおじさんを伴う

10篇の短編を収録した短編集。描かれているお話は色々なれど、どのお話にもユーモアを忍び込ませてあってそこがいいなあと思いました。ストーリーもいいけれど、それ以上に文章が心地よくて小説を読む楽しさを味わうことができました。こういう文章そのものを味わえる喜びって活字メディアだからこその醍醐味ですよね。200ページちょっとの本だけど、もっともっと長い本を読んだような満足度をえることができました。森作品を読むのは久しぶりだけど、もっともっと森作品を色々読みこんでみたいと思う本でした。
どのお話も好きなんだけど、クリスマスを前にして靴を買いに来た老婦人に遭遇した「クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の……」、飛行機に乗り合わせた乗客が映画をめぐって話す「ラストシーン」、桂川里香子に訪れたある危機について描いた「桂川里香子、危機一発」が特に好きです。