あいちトリエンナーレ2013 その2

10階を見終わったところであまちゃんバンドの時間が迫っていたので芸術文化センターをあとにして演奏会場であるオアシス21へ行きました。会場は正面にステージがあり、床にはたくさんの布が縫い合わされた敷物があっていくつかの小さなやぐらが組まれていました。これらの意味はあとで大友さんが明かしてくれました。私たちは敷物の上に座って鑑賞することにしました。時間が迫るにつれどんどん増していく人々。今回は屋外で無料だというので結構な人が集まっていたように感じます。どれくらいいたのかはわからないけれど、かなりの人数があまちゃんバンド登場を待っていたのは間違いなし。そしていよいよスタートの時がやってきました。最初の曲はもちろんあまちゃんOP曲。大勢の人たちが手拍子をしながら聞いててそれがすごかったなあ。チビッコから大人まで色んな人が手拍子してたの。普段はみんな一緒には見ることができないんだけど、こんなにもたくさんの人たちが同じドラマを楽しみに見てるんだなあって思うと嬉しくってねえ。だって映画や音楽ならたくさんの人たちが集まって同じように楽しむ機会ってあるじゃないですか。映画館やコンサート会場とか。でもね、テレビドラマってそうじゃないんだもの。みんながそれぞれの家で個別に見るものであって集まってみるものじゃない。だから、こういうふうに集まれたのがなんだか嬉しくてねえ。
演奏したのは9曲でした。最初と最後があまちゃんOP曲。こないだスタジオパークに大友さんが出演した時に演奏したあまちゃんクレッツマーと灯台ももちろん演奏。1曲演ごとに大友さんがこの曲はこういう曲ですという一言コメントつきでした。大友さんがされたお話は色々あってあまちゃんの話もあれば福島の話もありました。古田さんがキョンキョンと薬師丸さん両方に怒られる役だなんて羨ましいとか、北三陸編最後のユイちゃんが東京に行けなかったシーンは泣いてしまったとか。
大友さんは福島で育った人だそうです。震災後、福島でフェスティバルフクシマを行ったのですが、やろうと立ち上げた当時は放射線量をはかってどうのかとそれどころではなくこんな大変な時にそんなことしてどうすんだみたいなのもあったとか。大友さんたちはちゃんとしてないのにやるのではなく、ちゃんとするためにやるのだという決意で専門家の方に入ってもらいどうしたら安全に行うことができるのかを考え、第1回のフェスティバルフクシマを行ったのでした。地面の放射線の値が高い、じゃあどうしたらいいんだろう、そうだ地面を覆っちゃえばいいんだっていうことでたくさんの風呂敷を縫い合わせて地面を覆うことを思いつき1カ月もかかって地面を覆うのが実現したそうです。もちろん覆ったからといって放射線がなくなるわけじゃない、だけど体につくことを少しは防ぐことはできる。今回、フェスティバルフクシマinアイチって事でそれを踏まえて敷物をすることにしたとのことでした。福島から持ってきたものではなく、長者町からあまりのハギレを集めてきてそれらを縫い合わせて作ったのです。私そういうこと全然知らなかったなあと思うと考えてるつもりでも、福島の人とそれ以外の地域の人では当たり前なんだけどちがうんですよね。私ちゃんと考えてなかったんだな。
ちなみにフェスティバルフクシマ第1回目にはクドカンはじめ、あまちゃんプロデューサーほかあまちゃんに関わっている人たちがきてたそうです。あまちゃんの原型はここにあったのかもしれないと大友さんは言っていました。
あまちゃんバンドが終わったとこで芸術文化センターに戻って今度は8階の展示を見学。今回のトリエンナーレのテーマは「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」なんだけど、10階の展示以上にストレートにテーマを表現している作品が多かったです。震災で被害を受けた場所の写真に思い出が詰まったモノの写真、これらはちょっと見ててきつかったなあ。別にそんな衝撃的な写真なんかじゃないんですよ。だけど、写真につけられたキャプション読んでると色んな事考えちゃって頭の中ぐるぐる回っちゃったんですね。

宮本佳明福島第一原発神社」。福島第一原発に屋根を被せて神社へと模した作品です。お願いだから静まってくれと願わずにはいられない。

ドドーンと立っているのがサンチャイルド。思っている以上に存在感抜群でした。
芸術文化センターにあちこち張られている黄色いテープがあってこれ何かなあと思っていたら福島第一原発と重ね合わせた線でした。宮本佳明「福島第一さかえ原発」という作品です。こうやって見ると大きな建物だったんだなあというのがよくわかります。数字だけではわからないことが体感できたというか。吹き抜けを見上げて原子炉の巨大さとその怖さを考えたり。
オアシス21へ戻り、早めのごはんを食べて6時からは盆踊りに参加してきました。もうねー本当に贅沢な盆踊りだった! だってあまちゃんバンドの生演奏と遠藤ミチロウさんの生歌で盆踊りやっちゃったんだもの。こんな盆踊りこの先二度と体験できないよなあ、きっと。一生ものの盆踊りだったのかもしれない。本当に楽しかった! 短い時間だったけど、みんなで一体になって祭りを楽しんじゃおうって色んな人たちと一緒になって「ええじゃないか、ええじゃないか」って踊りまくるのが面白くてねえ。音楽ってこんな自由で楽しいんだなあって。音を楽しむとかいて音楽と読む、まさにその通りでした。あまちゃん音頭も踊ってきましたよ。振付の中に海女さんやウニ、夏ばっぱをイメージしたのが入ってて面白かったです。家でも踊るかな(笑)
今回、長女があまちゃんバンドの生演奏をすごく喜んでました。出だしのとこでは鳥肌が立ったっていってたもの。長女は今、部活であまちゃんOP曲を練習中なので本物を生で聴けたのがすごく嬉しかったみたい。ああいう風に演奏ができたらいいなって。プロってやっぱりすごいって感激してました。テレビで聞くのと生で聴くのは違うしね。行ってよかったなあ。楽しかっただけじゃなくて、震災のこと原発のことなど色々と宿題を持って帰ることになったけど、それ込みで私は家族でいけてよかったなあって思います。