はじめてだらけの夏休み

はじめてだらけの夏休み

はじめてだらけの夏休み

父親は年に5回ほどしか返ってこず、母親は精神を病んでいる家庭の9歳の少年が過ごす一夏の話。これは読んでてきつかったお話でした。いつ帰ってくるのか、帰ってきてもいついなくなってしまうのかわからない父親。そして徐々に精神を病んでいく母親。そんな家庭に育つ少年が無邪気な子供のままでいられるわけはありません。大人によって子供でいることを許されない子供の話はやっぱり辛いです。
主人公葉太は、自分が母親を守ることができなかった、自分が母親を壊してしまったと自責の念にかられている少年です。なんでたった9歳の子がこんなこと背負わなきゃいけないのか。これね、何がしんどいってじゃあ大人をダメだって攻めればそれで解決したのかというとそういうことでもないんですよね。だからしんどい。うまく回らなくなった歯車を再び走らせる難しさは想像以上の力がいるものです。願わくば、全ての子供が子供らしく生きられますように、そう願うしかありません。