ペンギンのしらべかた

ペンギンのしらべかた (岩波科学ライブラリー)

ペンギンのしらべかた (岩波科学ライブラリー)

ペンギン研究の仕方についての本。面白かったー! ペンギンがどういう生き物なのかやペンギンをめぐる状況について書かれた本は読んだことあるけれど、どのように研究がおこなわれているのかについては知らなかったので興味深く読むことができました。
ペンギンは鳥類の中ではもっとも研究されているグループだそうです。ちなみに鳥類は全体で約9700種、しかしそのうちのペンギンの仲間はわずかに18種。ではなぜそんなに研究されているのかといえば、簡単にいうと野生の状態を研究しやすいからなんだとか。ペンギンは扱いやすい鳥なのです。まず彼らは飛ばないし走ったところで人間の大人にはかないません。第二に彼らは人間に致命的な怪我を負わすことのできる怖い鳥ではありません。そして第三には彼らは意外と強いということ、岩場で頭から落下してもそれが原因で死亡することはありません。なるほどなあと、言われてみたら納得するけど研究が進むかどうかってこういう点が大事だったりするのですね。
この本ではペンギン研究について、捕まえ方、泳ぎ方、彼らの食事の仕方、旅の仕方、見分け方、暮らし方、見守り方に分けて書かれています。水族館や動物園のペンギンたちがフリッパーにつけているバンド、あれはペンギンを見分け管理するために必要なものなんだけど実は万能ではないそうです。劣化しやすく壊れやすいため、ペンギンたちが外れたバンドを飲み込んでしまう事故が起きているのです。じゃあバンドなどに頼らず見分けをすればいいのだけど、これもまたそういうわけにいかない事情があるので使っているわけであって難しいとこのようです。目下のところ、観察をしっかりし続け劣化したら早めに交換という作をとっているとか。
フンボルトペンギンをはじめとした温帯に住むペンギンたちは絶滅の危機にひんしていると言われています。フンボルトペンギンは日本の水族館動物園で多数飼育されていて身近なペンギンなだけにピンとこなかったけど、野生では数が減っているのです。日本人にとって親しみのあるペンギンたち、彼らを通じてそこから広がる世界について考えてみるのも大事なことなのかもしれませんね。