噂の女

噂の女

噂の女

糸井美幸という女を色んな角度から描いた連作短編集。構造的には『嫌な女』とも似てるんだけど、全体から受ける印象は少し違いました。どちらの女もイヤな女であるのは一緒だしあちこちでトラブルを起こすんだけど、『噂の女』のほうがからっとしてるかなーと感じます。それは美幸の心の内を探ることがなくいい意味での人間味を出さなかったからなのではないかと思います。何考えてるかわかんない腹のうちが全く知れない女として描いてるからこその面白さが出るというか。たぶん、この先も美幸は噂の女として人々の記憶に残り続けるんだろうなあ。