贖罪の奏鳴曲

贖罪の奏鳴曲

贖罪の奏鳴曲

主人公の御子柴弁護士の少年時代というのは神戸の少年Aがモデルなんでしょうね。彼だけがモデルではないと思うんですが、頭に置いていたのは間違いないもの。なので読んでてちょっともやっとしてしまいました。罪と罰、贖罪、許すということなどは簡単には割り切ることができないもの。ケースバイケースというのもあるし時間が解決するというのもある。この手の話は一般論でくくるのはちょっと乱暴かなって思います。少年犯罪というのは成人とは違った処遇がされる分、色々荒れそうだし。
途中、御子柴少年がピアノを聴いてやっと自分の罪について気付くシーンはさすが中山七里という描写でよかったです。小説による音楽描写に関してはやはり素晴らしいなあと思います。音楽を文章で表現するのってすっごく難しいんだけど、音楽が本から奏でられるような本はやっぱりいいですね。