女性専用車両の社会学

女性専用車両の社会学

女性専用車両の社会学

社会学の観点から女性専用車両を読み説くなんてどんな本なのかなって少しでも期待した私がアホでした。私にとってはとんだ地雷本でした。とりあえずはいいとこだけ先に書いとくと、女性専用車両は痴漢対策の抜本的解決にはならないというとこですかねえ。あとは加害者にスポットを当てた研究がもっとされるべきという点。それくらいですかねえ、あとは地雷でした。
被害者女性の自分を責める気持ちや怖くて抵抗できないことなどなどの気持ちを背景として痴漢がはびこっている現実があるから、何があっても痴漢を許さないと抵抗して意識を変えていく必要があるのではないのか。そういった女性の人権意識を育てる社会教育が必要なのではないのか。そう書いてあるのにはあきれました。まず第一になんで被害者の女性のせいで痴漢がはびこっているという考えが出てくるのか。女にだって悪いとこがあるといいわけして痴漢を容認してどうするのか。第二に痴漢は何があっても許さないって思ってますよ、こっちは。あんなの許せるわけないじゃんか。抵抗しない女が悪いってどういうことなんですかねえ。あの怖さわかってて書いてるんでしょうか。第三に女性の人権意識云々よりも他人の人権踏みにじって平気な顔して性犯罪を犯してる人にこそ人権教育が必要なのではないでしょうか。なんで被害者にばっか色々求めるのでしょうか。
あとはなー、女性が女性専用車両に逃げ込むのを推奨しているのは女性のためにならないっていうけどじゃあかわりに痴漢を片っ端から捕まえてくれるというのでしょうか。痴漢にあって泣き寝入りしている人の気持ち、考えたことあるのでしょうか。
筆者によると、精神病理的には15〜25歳の男性が痴漢になるそうです。しかし現実は30〜40歳代の男性が痴漢のイメージだし実際検挙もされています。それに対してイメージでオヤジを色メガネかけてみるなというアピールを続けるのにはちょっと疑問です。イメージで痴漢=オヤジってみんな思ってるけどそんなことないんだもん、ただしそれを裏付けるデータはないけどな!っていう主張はなんだかなあと思います。必死になってオヤジを排除しようとする女達がよくないって言いたいだけにしか思えないもの。ううーん。
あと、痴漢は性欲は二次的なものであって彼らの男性性危機が痴漢に走らせてるそうだがこれにもちょっと首をかしげてしまいます。男性性危機の問題とやらも多少は関係あるのかもしれないけれど、性欲が二次的ってほど軽くはないのではないでしょうか。そんなおまけ扱いじゃないでしょ、痴漢にとっての性欲って。性欲が二次的なものでしかないならば、もっと他の発散だってあるはずだし。そもそもなんで見知らぬオジサンの男性性危機の問題をたまたま近くに居合わせた女性に押しつけるのか、関係ないじゃないか。
あーもう、読書は楽しくしたいからこそ、嗅覚とぎ澄ませて読書するようにしてたつもりだったのに。まだまだ修行が足りませんな。