Nのために

とにもかくにもこれですよ、窪田くんを成瀬くんにキャスティングしてくれてありがとう、本当にありがとう。心からのお礼を言いたいです。本当に素晴らしかった! 成瀬くんってすごくおいしい役ではあるものの、決して簡単な役ではないんですよね。きめ細かな演技を求められる難しい役だと思います。島編の若さと瑞々しさのあふれた成瀬くん、東京にきて闇落ちしてもどかしい日々を送っていた成瀬くん、希美を思う横顔、全てが素晴らしかったです。この成瀬くんが見れただけでも3カ月見続けてよかったなあって思うもの。
榮倉さんも予想外によかったです。彼女がキャスティングされていたからこそ、辛い島編も耐えられたのだと思います。榮倉さんっていい意味で逞しさというかふてぶてしさがあると思うんですよね。若い女優さんでこういう感じを出せるのって面白いですね。貫禄はないけれど、逞しさはあるので瑞々しさを感じさせてくれてよかったなあと思います。
島編のロケ地の美しさが私は好きでした。希美と成瀬くんにとって島とは大切な時間を過ごした場所であると同時に逃げ出したくてたまらない場所だったんですよね。そういう色んな感情が渦巻いてる場所としての説得力があのロケーションにはあったように感じました。今回、脚本も役者も演出も大事だけど、ロケ地やセットも物語に厚みや説得力を持たすという意味ですごく大切なんだなあと改めて感じたものです。やっぱりいいドラマは全てを兼ね備えた総合力の高いドラマを指すんですよね。
ラストの展開にはちょっと驚きました。希美と母は和解をして以前のように母と娘の関係に戻ることができました。そして希美は成瀬くんの待つ島へと帰って行ったのです。確か、原作にはない15年後を描くとあったのでこの部分がそうなのでしょうか。原作未読なのでちょっとわからないのですが。私はこういう終わり方も悪くはないんじゃないのかなって思います。美しい風景とともに美しく閉じられる物語も私は好き。