問題のあるレストラン

コインの表と裏である川奈さんと新田さん。今回の話の主役は川奈さんでした。川奈さん見てるとしんどくてたまんないです。一度決めたキャラから降りることを許さず、しんどくとも辛くとも笑顔のお面を張り付けてる様は痛々しい。本来ならば、たまこの言葉を聞いてその胸に飛び込んじゃうものなのに川奈さんはそれをしませんでした。そんな自分は自分じゃないとばかりに「カラオケ行きたかっただけなんだから!」と言い放ち、彼女は天木越えを歌いながら部屋を出ていきます。欲しかった言葉をかけられたはずなのに、そんな言葉はまやかしだとばかりに彼女は背を向けるのです。女同士の慣れ合いなんてばかばかしい、傷のなめ合いなんてまっぴらだと。
川奈さんはいいます。お尻触られても何も感じない教習所を出てるから自分は大丈夫だと。他にもたくさん教習所を出てて免許証をたくさん持っているのだと。ああもう、そんなこと言わないでよ。そんな教習所なんて行かないで。免許証なんて全部破って捨てちまえ。
本当は辛いことを川奈さんが笑顔で話していると泣いているように私には見えます。笑えば笑うほど、泣きながら「助けて!」って叫んでいるように聞こえます。あんなに悲しい笑顔はそうはありません。女優高畑充希の本領発揮ですね。はじまった当初はいつもとは違う役を振られててどんな感じになるのかなあと様子見してたのですが、なるほどこういうことだったんですね。千佳ちゃん役の松岡茉優といい、役者の配置の仕方が面白いです。
女とはこうでなければならないと過剰に内面化しているのは川奈さんです。しかし、内面化した価値観に苦しんでいるのも川奈さんです。過剰に内面化したものを解き放つのは難しいことです。本当はこんなのおかしい、違うんだって思っていても言動を変えるのは容易ではありません。川奈さんのように内面化したものを処世術として使っているというタイプの人は尚更でしょう。生きるって難しいね。