ラストマイル

本当はもう少し後に見にいこうかと思ってたけどネタバレする前に行きたいなと思い、土曜日にラストマイルを見に行ってきました。

野木脚本塚田D新井Pのトリオはどこまででも社会問題にコミットする人たちで労働問題を考え続ける人たちなんだなあと思った。そうやって社会に寄り添い続ける人たちだし、社会の在り方について考え続ける人たちなんだなあと。ここで描かれてることは物流業界で働く人たちだけでなく、私たち一人一人が考えなきゃいけないことで他人事にはしちゃいけないんだよ。だって私たちは物流が止まったら生活できないしあまりに身近すぎるんだもの。なしでは生きられない。

アンナチュラル、MIU404と世界を同じにする物語だけど、見てなくても十分楽しめます。視聴済みだと「みんなあれから元気だったんだねえ」と目を細めることができて良きかなって感じで見てなくても問題ないです。あくまで主役はラストマイルのメンバーなので。

エンドロールで流れるがらくたがしみるのなんのって。米津玄師の物語への解像度の高さってすごいなあと改めて感じる。そりゃタイアップ多くなるわ。

パンフはネタバレしてるので上映後に見るのがよいかと思います。

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以下ネタバレしてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンフを読んでこのプロジェクトが思ってるよりずっと早くから走り出してたことを知って驚く。2020年末には次は映画を作りたいねという話をして2021年早々には企画がスタートし、脚本の初稿が上がってきたのが2021年6月、キャスティングは1年かけて考えたそうで主人公の満島ひかりにはすぐにオファーを受けてもらえなかったものの2021年10月には打ち合わせにまでこぎつける。撮影は2022年12月1日クランクイン。企画当初から物流の話をやりたいというのでスタートしたとはいえ、今の時代にドンピシャな物語になってるってすごいなあと思う。だってすごく2024年の空気感だよね。すごいなあ。

パンフでの野木さんの映画とドラマでの主人公の造形の仕方の違いについての話は興味深かった。ドラマの主人公は悪い奴ではだめ、好感度が大事だから、でも映画はお茶の間のことを考えなくてもいいし途中退席することはあまりないから見てるうちに主人公の見方が変わっていけばいい。なるほどなあ。朝ドラが反省会タグで荒れてるのを見るととてもよくわかる。ドラマは嫌われたらそれ以上は見てもらえない、故に好感度を下げることは勇気がいる。ちょっとこの辺りについては朝ドラのことを合わせて再度色々考えていきたいなと思う。

野木さんの発言を考えると満島ひかり演じるエレナは映画だからこそ作りえた主人公像であり、連ドラだと難しいんだろうなあと思う。そこをあえてチャレンジする手もなくはないがまあでも近年の朝ドラ反省会タグの暴れっぷりを思うとねえ、無理しなくてもとは思ってしまう。

物流に関わる色んな人たちが出てくるが私は阿部サダヲ演じる八木が板挟みになる様が辛いーでも見てる人には刺さりやすい人なんだろうなあと思って見てた。そこはエレナとは対称的だなあと。あとは裏主人公とも言われてる佐野親子はやっぱり刺さるよねえ。洗濯機の件の回収は「わーっここ回収してくるんだ!」と震えた。佐野親子の物語はもうちょっと続きを見たいなあとも思う。

シークレットキャストの中村倫也仁村紗和には驚いた。えっこの人たちシークレットにしちゃうんですか?それ贅沢じゃないですか?って。MIU404の菅田将暉もシークレットゲストで驚いたが同じ手法よね。パンフではご丁寧に袋とじにされていて上映前にパンフ見る人への配慮を感じる。

一度立ち止まって考えるということが現代社会では難しくなっている。たとえそれが間違っていても流れは止められない。よっぽどなことが起こったとしても止められないほどになっている。だからやっぱりある種のファンタジーなんだよなあと思う。でもそれくらい夢見てもいいじゃない、こうであって欲しいと思ってもいいじゃない、一人一人の力は小さくても連帯すれば社会は変えられると思いたいじゃない。そういう風に願いたい。しかし、この物語はそれでは終わらない。スクリーンの向こう側の私たちへの問いかける。宿題を手にした私たちがどう生きるのかが問われてるんだと思う。

しかしあれですね、思いっきりAmazonに喧嘩売っててすごいなあと思う。だってこれ誰が見てもモデルはAmazonじゃん。他国で上映されるならばどのように受け止められるのかも気になるとこだがどうなんですかね。