紙の月

横領したお金を湯水のように使うことによって万能感をえている梨花、とにかく節約し続ける木綿子、買い物依存症を理由に離婚してから落ち着いていたものの娘との交流を機に再び買い物依存症の虫が疼き始めている亜紀。高校時代の同級生だった3人が三者三様な形でお金に絡みとられていく様は痛々しく見えました。本来、お金というのはお金というものでしかないのにある瞬間を境にお金が魔力を持つ時があります。その怖さがよくあらわされていてぞっとしました。梨花はお金の魔力によって光太という人間の持っていた特性を殺してしまった。あの頃の彼に戻ることは今後二度とないでしょうね。お金は大事だよ、やっぱり。色んな意味でね。