和子の部屋 小説家のための人生相談

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阿部和重が10人の女性作家の悩みにこたえる対談集。幸福になって小説が書けなくなってしまうのではないのかと怖い角田光代。言葉が世界を規定するが故に言葉しか信じることができないという江國香織。祖母と母が死んでいなくなってしまうのが怖い川上美映子。初めての小説連載を前に成し遂げられるのかが怖いという金原ひとみ。小説に終わりとつけることができないという朝吹真理子。片想いが実ったことがないという綿谷りさ。バツイチでどういった男性とならば付き合う事ができるのかという加藤千恵島本理生。編集者との関係とは幻想だったのかもしれないという川上弘美。昔と違ってビビビっとくることがなくなってきたという桐野夏生
面白い事にどの作家さんと話していても結局は文学論になってるんですよね。必ずしもそうとは限らないんだけど、創作には日常の延長的な側面があるのも事実です。だから各人の創作の作法の話になっていく。10人のお話の中では角田さん江國さん綿谷さん桐野さんのお話が面白かったです。特に綿谷さんの話はとても他人ごととは思えなかったです。相手の気持ちを勝手に推し量りすぎて勝手に決めちゃう話とかね。例えば、「つまらない?」と聞いて「そんなことないよ」といわれても「でもつまらなそうな顔してるじゃん」って思っちゃうんですよね。言葉以外の色んなとこに勝手に意味付けをしちゃうという、まあ面倒くさい話です。
この対談時、バツイチだった阿部和重と結婚してはいたもののもし子供を持つのならばシングルマザーになりたいといっていた川上美映子。この二人が昨年結婚し今年の秋には子供が生まれるという話には驚きです。特に川上美映子なんて「父親はいらない、自分と子供だけのカプセルに入りたい」とまで言っていたのにね。まあ、何が起こるのか分からないのが人生ですが。