男は美人の嘘が好き

男は美人の嘘が好き―ひかりと影の平家物語

男は美人の嘘が好き―ひかりと影の平家物語

平家物語」に出てくる女はなぜか皆美人ばかりで男に都合がよい女ばかり。その謎を文献を読み解きつつ自らの推論を織り交ぜて考察をした本。
平家物語」は冒頭の

祇園精舎の鐘の声。諸行無常の響きあり。

を知らない人はいないぐらい有名なのにも関わらず、物語としては「源氏物語」ほど語られていない印象。私も大筋は日本史でやったから知ってはいるものの、物語としてはあまりだったので興味深かったです。男の物語の添え物として女が描かれているが故、人間的魅力がある女がいないのではないかと作者は言っているけど、なるほどなあと。ちょうど平安末期から鎌倉期にかけては貴族社会から武家社会へ、母系社会から父系社会へ、妻問い婚・婿取り婚から嫁取り婚へ。そういった社会のシステムの転換期であったから「平家物語」の女たちはこういった描き方をされたのではという答えは興味深いものでした。