球体の蛇

球体の蛇

球体の蛇

ミステリ色が薄くて文芸色が強かったので今までの道尾作品とはちょっと違った雰囲気の本でした。文章自体はデビュー当時よりもぐっとよくなった感じだしそこから醸し出される雰囲気もちゃんと世界観を作ってると思います。好き嫌いは出そうだけど。道尾作品といえば大きな仕掛けがしてあって終盤に大どんでん返しが待っているものだけどこの本はそんなことないので従来の道尾作品ファンからはちょっと肩すかしかもしれません。
この本には色んなタイプの嘘が出てきます。優しい嘘も誰かのための嘘も悪意のある嘘も誰かを傷つけるための嘘も。嘘って何なんでしょうね。そんな事を考えたり。
あとは溢れる『星の王子さま』愛を感じたりしました。この本は『星の王子さま』をモチーフにしている部分もあって、また読みたくなっちゃいました。時代を問わず世代を問わず地域を問わずにずーっと愛されている『星の王子さま』。そういうふうに残っていく本にこれから先もたくさん出会えたらいいなあ。