もじゃもじゃ

もじゃもじゃ

もじゃもじゃ

市営の結婚相談所にまつわる男女の話。28歳でダメンズのOLの「私を悩ますもじゃもじゃ頭」、24歳でクリーニング店に勤めていて彼女とお見合いをすることになった男性の「おかんに捧げるバラード」、結婚相談所の所長の「かいつぶりの胸のうち」の3つのお話が収録されています。さほど期待して読んだわけじゃなかったけど、思ってたよりかよかったです。結婚がテーマなのに、結婚万歳!結婚最高!って簡単に結婚を崇めるお話じゃなかったのがよかったのかもしれません。関西弁ベースでほわっとした中に時折混じるシビアなとことのバランスも良く、私はこういうの好きだなあって思いました。
著者はこれがデビュー作であるばかりか、まとまった量の小説を書いたのが初めてだったとか。これにはビックリ。だって新人とは思えないほど、まとまりがある小説だったんだもの。取り立てて大きな事件が起こるわけじゃない、地味なお話なんだけど、根底に温かみがあってそこが小説全体をうまく包んでくれるとこがいいなあと思います。今後に期待したい作家さんの一人になりました。