Woman

物語の始まりはとても重く、息苦しいものでした。面白そうではなるけれど、3カ月この空気を耐えて見ることができるのかな。そういう不安がなかったわけじゃないです。しかし、終わってみれば希望の見えるきれいな終わり方で3カ月見てきてよかったなあと思ったしほっともしました。とても一言でいうことができないくらい長い間色々なものを積み重ねてきて、または積み重ねなかったりして、やっと家族になることができたのが本当によかったです。「おかえり」「ただいま」をいうのが家族。その家族になれたのがやっぱり良かったなあ。
家族になれた人たちがいた一方、家族をやめることにした家族がいたのがこのドラマでもありました。祐介は藍子に言います。「野々村藍子さん。母性なんて男が逃げる為に作った言葉だった。子供への愛情は母性と父性を分けるもんじゃなかった。僕らは手分けするんじゃなくて、手を取り合うべきだった」その通りすぎて頭もげるくらいうなづきたいです。あえて母性と父性をわけるとしても、それは母の愛情と父の愛情を区別することではないと思うのです。女性の中にも父性的だとされるものは存在するし男性の中にも母性的だとされるものは存在します。母性は女性だけ、父性は男性だけはなくどちらも混ざりあっているものなのでしょう。分断するものではありません。愛情はそういうものじゃない。
栞についてはちょっと消化不良だったかなという気がします。彼女の中に渦巻いていた澱んだ所が変化していく過程がもう少し描写があってもよかったんじゃないのかなーと。憑き物が落ちる過程がちょっと唐突だった気がしました。
黒ばかり着ていた栞が家を出て明るい色や柄ものを着るようになり、新しく仕事につきこれまでとは違う人生を歩み始めた今、清潔感のあるシャツをきるようになりました。栞の心情の変化を服装によってわかりやすく表現がされていました。こういう丁寧さが好きでした。
脚本、演出、キャストの全てがうまく合致したいいドラマでした。それぞれがお互いを信じてひとつのドラマを作り上げていったんだろうなあと想像できます。そして、作り上げたものがちゃんと視聴者に届くはずだと信じているようにも感じられました。それは一視聴者としてとても幸せなことだと思いました。作り手と受け手、双方がお互いを信じて向き合える時間がもてることはありがたいことです。