紙婚式

紙婚式 (角川文庫)

紙婚式 (角川文庫)

結婚をテーマにした短編を収録した短編集。年またぎで読んでたのがこの本だったんですが、年末年始に読む本じゃなかったかなあと思いました。いや、面白かったんですよ。結婚にひそむキレイ事では済まない事を丁寧に救いあげ、ディテールにこだわって短編に落とし込む技にはぞくっとしました。けっして怖い事を狙ったわけではなと思うけど、読み終わってみたら私にとってはホラー物でした。
結婚って一人でするものじゃないし生活というのは日常そのものになります。だからこそ、少しずつずれていくのを敏感に感じてどうにかしなければいけない。見て見ぬふりをしていいものではない。目をつむっていれば、それは存在しないというものではないのだから。そういう日常に潜む怖さにぞくっとした本でした。やっぱり私、幽霊や妖怪よりも人間のほうのがずーっと怖いわと再確認するのも通常運転でした。