問題のあるレストラン

あー面白かった! 2015年も坂元裕二健在を示した初回放送でした。軽妙に飛ばす会話が気がついたら胃が重くなるような話に変わっていてグッサグサに刺さってきました。『それでも、生きてゆく』の重さと『最高の離婚』のリズム感をうまい具合にミックスしたドラマだなあという感じ。
東出・高畑充希二階堂ふみ松岡茉優という注目の若手俳優がいつもと違う役を振られているのが面白いなあと思いました。充希ちゃんの役は石原さとみの完コピでちょっと驚きでした。こういう役って彼女まず振られないと思ってたから。二階堂ふみ松岡茉優は普通なら役が逆になるはず。東出くんもいつもの好青年の役ではなかったですね。そういう意味で役者の使い方が面白いなあと感じています。
五月がキル・ビルよろしくザックザックと人を斬っていくシーンの物悲しさがたまらなくて気がついたら涙でした。初回から泣くつもりなんてなかったのに。頭の中で人を斬りつける妄想をしなければ生きていけなかった五月。そのことがただひたすら悲しい。だってそんなふうに人を呪いながら生きるのがいいわけがないもの。そんなふうに生きたいわけじゃないもの。でもそうせずにはいられなかったというのが辛くてたまりません。
レシピノートの端に書かれた日記が最初は生き生きとしていたのが次第にダークサイドに落ちていく様も辛いものがありました。こうやって心って死んでいくんですよね。少しずつ少しずつだけど、確実に心は死んでいく。それは辛い。
会社であったことを母親に話したら泣かれた五月。会社を訴えるといったら恥だと泣かれた五月。母は五月と一緒に理不尽な世の中について怒る人ではなかった。辛かったね、しんどかったねと五月に寄り添ってくれる人でもなかった。より一層五月が心を殺したのは言うまでもなかったでしょう。
男のやることなんて嗜めておけばいいと言われるが嫌なことをイヤって言えないのは心が死にます。だって尊厳の問題なんだもの。尊厳を傷つけられてそんなふうにすればいいなんてそんなのは間違っている。男なんてそんなものだと諦めるのは私はいや。まあこういうのって男女間だけの問題じゃないとは思いますが。人間の尊厳の問題なんだもの。
反旗を翻したたまこたちの戦いがどう転がっていくのか。たまこサイドの男は子供と女装した男だけです。意図的にマジョリティである男性を排除しています。さて、これからどうなるのか。楽しみじゃないはずがありません。