三年身籠る

三年身籠る (文春文庫)

三年身籠る (文春文庫)

10カ月を過ぎても出産せずに3年も妊娠し続けた冬子の話。不思議な話でした。設定自体がエキセントリックなので当たり前なんだけど。ふわっと地面から浮いたような感じがする本です。妊娠期間が1年を超え、2年3年と進んでいくうちに夫や妹が変わっていくさまが面白かったです。夫は浮気症であまり2人は夫婦っぽくなかったのに、2年目以降徐々に夫が父親になっていき、家族になっていく過程が丁寧に描かれていて興味深かったです。家族になる過程を妻の長期妊娠というちょっと変わったところからじっくり描いたこの小説、こういう家族小説も面白いです。