告白

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

原作読んで*1映画のCM見たらやたらめったら見に行きたくなっちゃったので行ってきました。原作つきのものってどうしても色々言われるじゃないですか。キャスト先行であとからちょうどいい原作みっけ☆みたいなのだと、原作レイプでひどい!とかね。原作をなぞってても、あまりにそのまんますぎると映像化の意味ないじゃんとか。まあ、色々難しいですよね。でも告白はそういうのを飛び越したよいできの映画だと思いました。中島監督ステキだわ。
まず、森口先生。どう演じてくるのかなーと思ったけど、いやはやうまいですね、松たか子は。想像以上に素晴らしかったです。感情を殺して淡々と生徒たちで喋るモノローグのシーンがあったかと思えば、すんごく意地悪な顔してみたり。緩急もついてたしよかったと思います。
そして直くんママを演じた木村佳乃。なんていうか、直くんママが憑依しちゃってるんじゃないかと思いました。振り切ってました。
KY教師ウェルテルは原作以上のうざさです。なので、美月の指摘に胸がすーっとするんです。
原作はモノローグの見で構成されています。要するに主観のみ。それが映像化されることによって客観性が生まれ、より物語が立体的になったように思います。たとえば、冒頭20分の森口のモノローグのシーン。これどうやって退屈させないように映像化させるんだろうかと思っていたら、モノローグではたいして出てこなかった生徒たちをうまく使うことによって画面に引きつけることに成功していました。森口の話は37人の生徒それぞれ違った受け止め方をしています。原作には描かれていない部分です。37人それぞれが違う芝居をしていているのを見て、ちゃんと作り込んでるのが伝わってきました。私はそういうディテールにこだわってるのって大好き。細部を大事にすることによって物語に説得力が出てくるのだと思います。そこを大事にしないと白けてきちゃうんだもの。
出演シーンは少しだけなんだけど、芦名愛菜ちゃんがかわいかった。それにしてもこの子、辛い役続きすぎだわ。
私は中島監督作品は『下妻物語』しか見てないんだけど*2、中島監督って何て素晴らしいのかしらと思いました。映像の作り方とか音楽の使い方がツボすぎる。2時間弱の映画でだれるとこが一個もなくて演出のすごさを感じました。とりあえず、他の中島作品も見たいです。
以下ネタばれなのでたたみます。
ラストのセリフが原作の「更生の第一歩になるんだと思います」ではなく、そのあとに「なーんてね」を足すことによって更に後味の悪さ倍増で中島監督流石と思いました。この「なーんてね」の時の森口の顔が素晴らしいです。もう1回この顔見たい。普通、原作に足しちゃったら余分なことになるはずなのに、「なーんてね」は足してくれてありがとうっていいたいぐらい。これ足すことによって更に完成度が高まったと思います。しばらく「なーんてね」が口癖になりそうなぐらい、面白い映画でした(笑)

*1:小説の感想はこちらです。http://d.hatena.ne.jp/cho-ko/20100517#p1

*2:この映画も好き。