チビッコ三面記事

チビッコ三面記事

チビッコ三面記事

子供に関する事件記事を集めた本。著者は執筆するにあたってこのように考えていたそうです。

「最近の子どもは外で遊ばないね」と、近頃の子どもは不器用で不健康だと暗に批判する年長者が嫌いである。あなたたちが都市に住んで、マイホームを郊外に建てたのでしょう。田んぼを埋め、林を切り崩したのです。雑木林を切り倒しておいて、「カブトムシも取った事がないのか」といわれても、大人が作った環境を子どもたちにはどうすることもできない。

「古き良きもの」は確かに失われたかもしれない。だが不便を捨てて得た結果、利便さのほうが大きい。各自が社会のあちこちで、こうしたらメリットが大きいと考えた結果、現代社会ができていった。(略)長屋暮らしはプライバシーがないからといってマンションが支持され、コンビニが便利だからといって個人商店や商店街をつぶしていったのは私たち自身に他ならない。

要するに「昔はよかった」ブームに対して疑問を持っているのです。この本の中で取り上げられてる事件記事を読むと確かに昔はよかっただけではすまされないなあと私も思います。昭和30年代の日本では大人のまねっこして睡眠薬を乱用して酩酊状態を楽しむ小学生が社会問題化してたり、小学生が花売り娘をやっていたり、おまけ欲しさにお菓子を集団で盗む子供がいたり、紙芝居をツケで見ていた子供が催促に耐えきれずに盗みを働いたり、暴君のようにふるまう先生がいたりしたそうです。まあ、今と変わらないっちゃ変わらないという事件もたくさんあったけど。基本的に子供という生き物の本質は一緒だもの。ただ、昔を懐かしむのはいいけれど、結果今を否定するのはちょっと違うなあと私も思います。「最近の若者はなっちゃいない!」っていうけどさ、その若者たちを育てたのはまぎれもなく自分たちであるのはお忘れなく。私も肝に銘じとかないとダメですが。