反社会学講座

反社会学講座 (ちくま文庫)

反社会学講座 (ちくま文庫)

以前、新聞の書評で『続・反社会学講座』が取り上げられてて面白そうだなーと思い、どうせ読むならば先に出たものから読もうと手に取ってみました。うん、私こういうの嫌いじゃないわ。世の中の常識と言われてることを裏返して別にそんなことないんじゃないのー?っていう感覚は嫌いじゃないもの。基本ひねくれ者だからね。
少年犯罪が増加・凶悪化してて嘆かわしいとおっしゃるそこのあなた、そんなことはないんですよとこの本は説きます。これね、資料の出しかたが作為的なんですよ。過去10年分くらいだけ切り取ってドヤ顔されても困ります。作者はもっとさかのぼったとこから資料を出してきてそんなことなんてないといいます。確かに見てみるとずいぶん減ってるんですよね。昭和20年代30年代のがずっとずっと少年犯罪多いもの。ちなみに作者曰く最も凶悪だったのは昭和35年に17歳だった年代だそう。
他にもフリーター問題は嘆かわしいというが江戸時代は30%ぐらいの男がフリーター*1であったとか、日本人は昔から勤勉だったというが江戸時代は4時間くらいしか1日働いてなかった*2とかの話を書いています。あとは労働時間が長くなかったからか*3江戸時代の男たちはよく育児をしていたそうです。
まああれですね、こういった資料集めって案外結論ありきでやられてるものなんだなあと思いました。その結論にふさわしい資料をかき集めて「ね、だからいったでしょ?」っていうのがいかに多いことか。なのでそこら辺を差し引きして色々なものを見るとよいのかと思いました。要は自分の頭をちゃんと使う事が大事よねって。

*1:日雇い仕事をしてた

*2:あさいちから夕方まで働いていても1日3回ぐらい休憩とってたからトータルだとそれほど労働時間は長くなかったそう。ちなみに明治19年までは役人は10時出勤14時退勤で昼休みが1時間の3時間労働だったとか。野麦峠に代表される女工さんの話とあまりにかけ離れた話に白目。

*3:職住近接というのもあったと思うけど