ペテロの葬列

まさかのオチでこの物語がバスジャック事件から始まったという事を忘れてしまうくらい、衝撃的でした。だってだってまさか杉村家が離婚してしまうなんて思いもしなかったもの。なんだかんだでこの夫婦は続いていくのかなって思ってたんだもの。うわーこれは読めなかったわー。
それにしても菜穂子ってとことんすごい女だわーと思い知らされた最終回でした。なんなのだろうか。私が罪を犯した理由とやらを語ってるものの、何いってるのか全く理解できませんでした。理解できなかったというか理解するのを頭が拒否していたといったほうが正しいのかもしれませんが。だってさーこれあまりにも理不尽すぎやしないだろうかと思うんだもの。大体において何故彼女は橋本さんを共犯者に選んだのか、それもやっぱりもやもやしちゃう理由の一つです。橋本さんを共犯者にするということがどういうことなのか、それがわからなかったわけはないのに彼女はあえて橋本さんを選んだ。巻き込むことによって彼の人生を狂わせるのがわかっていながら選んだわけです。もちろん橋本さんだってわかってて利用されてた面はあるわけですが、あくまで主導権は菜穂子にあっただけに彼女の罪は大きいよなあと思います。
彼女の一連の行動を杉村を解放するためのものと見ることもできます。しかし、それならばなぜ他人を巻き込んだのか、違う方法を選ぶのをなぜ考えなかったのか。それが菜穂子の弱さでありずるさなのでしょう。自立への道を歩み始めた菜穂子。しかし彼女はその第一歩を踏み出すために他人を利用した。自立とは自分の足で立つことです。そのスタートラインに立つことさえも、彼女は1人ではできませんでした。
私はもともと菜穂子ってあんまり好きではなくて、それは何故かといったら彼女の持っている無自覚な傲慢さが好きではなかったからなんですね。だけど、杉村はそんな菜穂子の事が好きだから彼女と一緒にいる道を選んだ。じゃあそれならば杉村の幸せを願ってそっと背中を見守ろうと思ってたのにこの結果に一視聴者としてきーっとなってしまいました。若干自分が気持ち悪いくらい(苦笑)
ぶつくさいってるので不満たらたらかといったら実はそうではないです。ドラマ自体はとっても面白かったです。キャストもみなはまり役で脚本も演出もよく楽しく視聴することができました。最後に続編への示唆も出てたので期待せざるをえないです。原作ストックないけど次でたら即ドラマ化してくれるのだろうか。とにかくこのままじゃ終われないので早く続きが見た―い! とりまそれまでの間に未読だった原作に手を出そうと思います。『誰か』『名もなき毒』は既読だけど『ペテロの葬列』はまだなのでね。今読んだら杉村=小泉孝太郎以外ではもう読めないんだろうなあ。